【ワシントン=吉野直也】米野党・共和党のマコネル院内総務ら上院議員47人は9日、イラン指導部に宛てた書簡を発表した。核問題を巡る欧米など6カ国とイランの協議が合意した場合でも米議会が承認しなければ、次期政権で破棄される可能性があると警告した。
オバマ米大統領は記者会見で「米議会のメンバーがイランの強硬派と協力しようとしているのは皮肉だ。異常な提携だ」と批判した。そのうえで「いまイランとは核問題で合意できるかどうか交渉の最中だ。合意できれば、米国民にもそれを報告できる」と語った。
アーネスト米大統領報道官も「大統領の外交遂行能力と国家安全保障の利益を傷つけようとする党略であり、交渉を邪魔しようとしている」と断じた。オバマ政権は外交は大統領の専権事項として共和の要求には応じない方針だ。
上下両院で多数を握る共和はイランに限定的なウラン濃縮を認める交渉に反対の立場。書簡ではオバマ氏の任期は2017年1月までで「次期大統領が一筆書けば取り消すことができる」と強調した。
核問題を巡る欧米など6カ国とイランの協議は今月末がヤマ場。枠組み合意できなければ、米側は「交渉の延長はしない」(オバマ氏)構えだ。15日からスイスで協議を再開し、ケリー米国務長官とイランのザリフ外相も加わる予定だ。