いじめを苦に2011年に自殺した大津市立中学2年の男子生徒(当時13)の遺族が市などに損害賠償を求めた訴訟で、遺族側と市との和解が17日、大津地裁(山本善彦裁判長)で成立した。市が和解金1300万円を支払い、自殺を防げなかったことや、学校と教育委員会の対応に問題があったことを謝罪する内容。
遺族は12年2月に提訴し、市は13年2月に過失責任を認めて和解を申し入れ、地裁が和解勧告していた。この日の裁判期日で、市と遺族が勧告を受け入れた。
この事件を契機に13年6月、いじめ防止対策推進法が成立した。遺族は加害者とされる元同級生3人側にも損害賠償を求めており、この訴訟は分離されて続く。
和解では元同級生から殴られたり、持ち物を隠されたりした計19件のいじめを認定。学校が男子生徒へのいじめ行為を認識し、自殺を予見できたのに適切な対応をしなかったことや、市教育委員会が学校の調査打ち切りを追認したことなどに対する責任について、市が謝罪する。
安全配慮を怠った市は賠償責任を負うとして、賠償額を4100万円と算定。支払い済みの死亡見舞金2800万円を除き、1300万円を和解金とした。再発防止策を今後も継続して実施することや、和解内容を市のホームページで公表することも盛り込まれた。
生徒は11年10月、大津市の自宅マンションから飛び降り自殺。市教委は当初、いじめと自殺の関係を不明としていたが、市が設置した外部の第三者委員会が13年1月、因果関係を認めた。〔共同〕