【カイロ=押野真也】北アフリカにあるチュニジアの首都チュニスで18日に起こった博物館襲撃事件で、チュニジア政府は19日、死亡者は外国人観光客20人を含む23人に増えたと発表した。チュニジアのカイドセブシ大統領は「(北アフリカで勢力を伸ばしているイスラム過激派)アンサール・シャリアの犯行だ」と断定し、大統領府は容疑者として9人を逮捕したことを明らかにした。
カイドセブシ大統領は18日、フランスメディアのインタビューに応じ、「我々は(過激派に対して)容赦なく、最後まで戦う」と強調した。治安部隊は18日に射殺した実行犯2人のほかにも、複数の協力者がいるとみて足取りを追っていた。
日本政府によると死亡者に日本人3人が含まれるほか、3人が負傷した。いずれも日本からの旅行者で、関係者によると死亡した3人は、埼玉県狭山市の宮崎チエミさん(49)と娘の遥さん(22)、東京都荒川区の成沢万知代さん(66)。
アンサール・シャリアはアラビア語で「イスラム法の支援者」を意味する。2011年1月にチュニジアで独裁政権が崩壊し、国内で混乱が広がる中で組織化され、勢力を強めた。13年に野党指導者などが相次いで暗殺された事件に関与したとされる。
同名の組織は隣国のリビアやエジプトにも存在しており、武器の供与や情報交換などを通じて相互に連携しているとみられる。リビアの同組織は過激派「イスラム国」の傘下に入り、同国内で外国人の誘拐や殺害に及んでいる。
18日の襲撃事件を受け、米欧各国はチュニジアと対テロで連携する姿勢を示した。中東や北アフリカの過激派を放置すれば、米欧諸国にもテロが波及するとの懸念が強まっている。