13人が死亡、6千人以上が負傷した地下鉄サリン事件の発生から20年となった20日朝、駅員2人が犠牲になるなど多くの被害者が出た東京メトロ(旧営団地下鉄)の霞ケ関駅で、職員が黙とうをささげ、犠牲者の冥福を祈った。
地下鉄サリン事件から20年を迎え、献花台に花を供える安倍首相(20日午後、東京都千代田区の東京メトロ霞ケ関駅)=代表撮影
安倍晋三首相も同駅を訪れ、記帳と献花をした。記者団に「まだ事件は終わってない。二度と起こらないようしっかりと万全を期していきたい」と語った。
東京メトロは中野坂上、小伝馬町など死者が出た6駅に一般向けの献花台を設置。霞ケ関駅では、事件発生時刻に近い午前8時、職員約20人が黙とうした。太田光昭・駅務管区長(53)は「犠牲になった職員2人の命を無駄にしないよう、安全を守るため一生懸命業務に当たる」と誓った。
被害者の会の代表世話人で、同駅助役の夫(当時50)を亡くした高橋シズヱさん(68)も献花。「20年はあっという間だったが、私にとって事件は終わっていない。惨事を繰り返さないためにも、事件を語り継ぎ、若い人にも関心を持ってほしい」と訴えた。
事件は1995年3月20日に発生した。通勤ラッシュの午前8時すぎ、日比谷線、丸ノ内線、千代田線の5編成の車両内に、猛毒の神経ガス「サリン」がまかれ、乗客や駅員ら13人が死亡、6千人以上が負傷した。
オウム真理教犯罪被害者支援機構の調査によると、被害者の約3割に心的外傷後ストレス障害(PTSD)とみられる症状があるほか、約7割の人が目の疲れを訴えるなど今も影響が続いている。