【ソウル=山口啓一】日本と中国、韓国の3カ国の外相会談が21日、ソウル市内のホテルで始まった。約3年ぶりの開催で、環境や防災など幅広い分野での協力を話し合う。北朝鮮問題やテロ対策についても意見交換する。日本は外相会談を弾みに歴史認識などを巡り隔たりがある中韓との関係改善を進め、3カ国による早期の首脳会談につなげたい考えだ。
会談を前に握手する(左から)岸田外相、韓国の尹炳世外相、中国の王毅外相(21日、ソウル)=共同
日本は岸田文雄外相、中国は王毅外相、韓国は尹炳世(ユン・ビョンセ)外相が出席。会談の冒頭、岸田氏は「3カ国の交流や協力をいっそう促進し、未来志向で強化することが重要だ。本日の有意義な議論を、早期のサミット(首脳会談)にもつなげていきたい」と述べた。
会談の最大の焦点は日中韓首脳会談の早期実現につながるかどうかだ。日本は3カ国の首脳会談の機会を利用して中韓両国との個別の首脳会談を実現したい考えで、その環境整備として日中韓外相会談の実現を呼びかけてきた経緯がある。
一方、中韓両国は安倍晋三首相が今夏に発表する戦後70年談話など歴史認識を巡る日本側の出方を慎重に探っている。日本側は4月にも首脳会談を開きたい意向だが、同月下旬には靖国神社の春季例大祭が控えており、安倍首相の参拝を警戒する中韓がこの時期の首脳会談に応じる可能性は低いとの見方が多い。
外相会談では、中国主導で設立するアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加を巡り議論する可能性もある。日本は同盟国の米国への配慮などから慎重な姿勢を崩しておらず、韓国がどう言及するかが注目される。
会談に先立ち、3カ国の外相は韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領と面会した。朴氏がソウルで日本の現職閣僚と会うのは13年2月の大統領就任式の際に麻生太郎副総理と会談して以来。