富山県氷見市で2002年に起きた性的暴行事件で誤認逮捕され、再審無罪となった柳原浩さん（47）が起こした国家賠償請求訴訟で、柳原さんの弁護団が23日、警察の捜査の違法性を認め県に1966万円の支払いを命じた富山地裁判決を受け入れ、控訴しないと発表した。23日が控訴期限で既に被告の県側は控訴しない方針を示しており、一審判決が確定する。

柳原さんの弁護団は東京都内で記者会見を開き「国の責任を認めず、警察捜査の違法性も限定的な範囲でしか認めておらず極めて不十分な判決だが、賠償額などを総合的に評価した」と説明した。

国賠訴訟は07年に再審無罪となった柳原さんが09年に提訴した。９日の地裁判決は富山県警の捜査員の取り調べに関して「回答を押しつけ、虚偽の自白を作出した」として違法性を認定。県に賠償の支払いを命じたが、検察官の起訴には合理的根拠があったとして国への請求は退けた。

事件では柳原さんが誤認逮捕された上、富山地裁高岡支部から実刑判決を言い渡され、約２年間服役した。06年に鳥取県警が強制わいせつ容疑で逮捕した男の自白から誤認逮捕だったことが判明し、富山県警と富山地検が柳原さんに謝罪した。〔共同〕