警察官が立つ奥田交番前を通学する中学生ら=2018年6月27日午前7時52分、富山市久方町、細川卓撮影
富山市の交番で警察官が刺されて拳銃を奪われ、近くの小学校で警備員が撃たれて死亡した事件で、警備員に対する殺人未遂容疑で逮捕された男が、両手に刃物を持って交番を訪れていたことがわかった。富山県警が明らかにした。現場からは複数の刃物が押収され、県警は計画的な犯行とみて動機や経緯を調べる。
富山交番襲撃、容疑の元自衛官宅を捜索
特集:富山市の小学校発砲事件
男は富山県立山町、元自衛官でアルバイト店員の島津慧大(けいた)容疑者(21)。県警は27日、自宅を家宅捜索した。
県警によると、26日午後2時ごろ、富山市久方町の富山中央署奥田交番の裏口からノックするような音がしたため、交番所長の稲泉健一警部補(46)がドアを開けたところ、突然両手に刃物を持った島津容疑者に襲いかかられたという。拳銃はひもで腰ベルトと結びつけられており、刃物で切断した後に奪ったとみられる。
拳銃を奪った島津容疑者は、市立奥田小学校の正門付近で工事車両の交通整理をしていた警備員の中村信一さん(68)に発砲。目撃者によると、1メートルほどの至近距離から中村さんと向き合う形で撃ったという。稲泉警部補と中村さんは病院で死亡が確認された。
その後、学校敷地内で、警察官2人に向かって両手に刃物を持った島津容疑者が走り寄ってきたため、2人が1発ずつ発砲し、左脇腹に命中させた。島津容疑者は重体だが、意識はあるという。県警は回復を待って殺人容疑で調べる。
拳銃は正門付近に残され、5発すべてが発射されていた。交番近くでは刃物1本が見つかり、1発発射した痕跡もあったという。
島津容疑者は2015年3月に陸上自衛隊に入隊し、金沢駐屯地で2年間勤務していた。関係者によると、自衛隊では射撃訓練があり、小銃と機関銃の訓練をしていたという。