高安(右)は押し出しで照ノ富士を破る=加藤諒撮影
(17日、大相撲春場所6日目)
稀勢の里6連勝 小兵対決は宇良 大相撲春場所6日目
どすこいタイムズ
大関を土俵下に吹き飛ばすと、「どうだ」と言わんばかりに顔を上げた。どよめく館内を見渡してから勝ち名乗りを受ける姿には風格さえ漂う。注目の全勝対決は、関脇高安の充実ぶりが際立つ完勝に終わった。
立ち合いで勝負を決めた。右のかちあげ一発で185キロの照ノ富士を後退させた。左、右とのどわを交え、最後は両手で胸を一突き。一方的に攻めきった。
4日目までは相手有利の形になってからの反撃で星を重ねた。この2日間は立ち合いから圧倒。本人は「守る時は守る。攻める時は攻める。メリハリがある相撲が取れている」。
好調の要因は、兄弟子稀勢の里との場所前の激しい稽古にある。大阪入り後は連日、互いに息が上がるまでぶつかりあった。横綱十分の左四つの体勢から豪快に投げ飛ばす場面も。稀勢の里は「遠慮なく顔を張ってくるし、突いてくる。稽古場でどんどん力をつけている」と目を細める。
「僕も後に続きたい」と新横綱の背中を追う高安には焦りもある。平成生まれ初の関取も2月に27歳になった。「もう中堅。うかうかしていられない」。この1年は大関を目指す勝負の年と位置づけている。
今場所を控え、「全勝するつもり」と強気な発言で報道陣を驚かせたが、6日目までは期待感を膨らませる内容と結果だ。「まだ途中経過。連勝していけば優勝も意識するんじゃないですか」。発する言葉には自信がみなぎっている。(岩佐友)