【フランクフルト=加藤貴行】フランス南東部での旅客機墜落で、墜落機の運航会社である独ジャーマンウイングスは27日、乗客の家族らに対する一時金として乗客1人当たり最大5万ユーロ(約650万円)を払うことを明らかにした。欧州メディアが一斉に報じた。
家族らの緊急の出費に充ててもらうもので、ジャーマンウイングスの親会社、独ルフトハンザが支払う。遺族への最終的な補償とは別になるという。
墜落したジャーマンウイングス機には乗客144人、乗員6人が乗っており、仏当局は全員が死亡したとみている。
仏独の検察当局は、旅客機を意図的に墜落させたとみられるアンドレアス・ルビッツ副操縦士の自宅などから押収した資料の分析などを通じ、原因の究明を進めている。
独当局は27日、家宅捜索で副操縦士の診断書が見つかったと発表した。副操縦士が会社側に病気を隠して乗務していた疑いがあり、ジャーマンウイングスも診断書などを受け取っていないとする声明を出した。
一方、今回の墜落を受けて欧州航空安全局は27日、欧州連合(EU)域内の航空会社に対し、飛行中の操縦室には、少なくとも操縦士1人を含む2人が常にいる規定を設けるよう勧告を出した。ルフトハンザを含む欧州の航空会社も相次いで規定の見直しを発表している。
墜落現場では乗客乗員の遺体の捜索活動が続けられている。仏捜査当局は遺体の身元確認作業に1~2週間かかるとの見通しを明らかにした。