中国では、「お金があってもなくても、春節(旧正月、今年は2月12日)は実家に帰って過ごす」と言われるほど春節は重要な祝祭日。しかし、今年は例年とは異なる春節となりそうだ。冬に入り新型コロナウイルス感染症が散発し、対策も難しい舵取りを強いられているため、「不要不急の場合を除き、帰省せずに今いる場所で春節を過ごそう」という呼びかけが次々に出されている。しかし、新型コロナウイルス対策をできるだけ支持したいと思う反面、帰省して来年がんばるための力を充電したいと、1年間ずっと帰省の日を待ちわびていた故郷を離れ、働いていた人も少なくない。春節を過ごす意義は、そのタイムポイントにではなく、家族と一緒に過ごすということにあるからだ。そのため、感染対策のために今いる場所に残るという選択肢と、帰省したいという強い願いの間で、多くの人が迷いに迷っている。人民網が各社の報道をまとめて報じた。
廈門(アモイ)宝太生物科技有限公司は最近、計3000万元の資金を準備し、社員に一人当たり5000元(1元は約16.1円)の「臨時ボーナス」を出して、アモイで春節を過ごすよう呼び掛けている。
同社は臨床現場即時検査(POCT)キットの研究開発、生産、販売に従事するハイテク企業で、社員の数は約5000人。昨年12月だけでも、売上高が24億元に達した。同社は現在、生産ラインが約80ラインあり、注文が多いため、春節も休日返上で生産を続ける予定だ。そのため、社員の80%をアモイに引き留めておく計画だ。
同社は春節期間中も出勤するよう呼び掛けるだけでなく、それなりの「報酬」も準備している。まず、2月8日から10日の3日間は、通常の報酬をベースに、一人当たり1日150元の奨励金が支給される。また、2月11日から14日までの4日間は、法定の祝祭日の規定に基づいて給料を加算するほか、1日当たり300元の奨励金が支給される。そして、2月15日から17日の3日間は、通常の報酬をベースに、1日当たり奨励金150元が支給される。
その他、2月10日(大晦日の前日)も出勤する社員には一人当たり1000元のお年玉が支給されるほか、100‐500元のお年玉が当たる抽選も実施するという。さらに、春節期間中、皆勤だった社員には皆勤賞として一人当たり1000元が支給され、1000元以下の賞も準備されている。
廈門だけでなく、各地でも社員を引き留めようと工夫が凝らされている。
福建省泉州市は、同市に残って春節を過ごす泉州市出身ではない労働組合の組合員に、一人当たり200元の「お年玉」を支給する計画だ。このお年玉はオンラインで申請することができる。
浙江省台州市は一部の重点企業に勤務する地方から同市にやって来て働いている労働者に、一人当たり380元または280元のお年玉を支給する計画だ。
浙江省湖州市呉興区は、春節期間も同区の建設現場に残る労働者に、一人当たり1000元のお年玉を支給する計画だ。
こうしたお年玉や補助金のほか、春節期間中に利用できるクーポン券や観光スポットの無料入場券、無料のパケット、無料の公共バス乗車券などを準備している地域もある。
ある労働者は、「新型コロナウイルス感染も拡大しており、会社が無料で宿舎も食事も提供してくれるし、お年玉もたくさんもらえるので、ここに残り、安らかな心で春節を過ごすことにする」と話した。(編集KN)
「人民網日本語版」2021年1月13日