【ジュネーブ=原克彦】免税店など旅行者向け小売店で世界最大手のデュフリー(スイス)は28日、同業大手のワールド・デューティー・フリー・グループ(WDF、イタリア)を買収すると発表した。WDFの親会社から株式の50.1%を取得する。免税店は世界の旅行者の増加で成長が見込まれている。シェア獲得へ先手を打ち、2位以下を引き離す。
株式の取得額は13億ユーロ(約1690億円)にのぼる見通しだ。WDFの企業価値は負債も含め36億ユーロと算出した。デュフリーによると、残りの株式についても買い付けの義務が生じるという。両社の売上高の合計は80億スイスフラン(約9840億円)を超えるとみられる。
WDFは業界推計で免税店の世界5位とみられ、アパレル店も展開するベネトン一族の持ち株会社が株式の過半数を保有してきた。有望市場なだけに業界各社の関心は高く、デュフリーのほかにも同分野で4位とされる韓国ロッテグループや、中国の免税店運営会社も買収に名乗りをあげていたとされる。
デュフリーは2014年にスイスの同業大手を買収し、それまで業界最大手だったLVMHモエヘネシー・ルイヴィトン(LVMH)傘下のDFS(香港)を追い抜いた。WDFの買収でさらに空港などでの存在感を高め、リードを広げる。
デュフリーは世界約60カ国で免税店や売店を運営する。一方、WDFの店舗網は20カ国に広がっている。WDFは同業との提携や統合による合理化や商品調達力の強化を狙い、空港やパーキングエリアで飲食店を展開する伊アウトグリルから13年に分社していた。