【シンガポール=菊池友美】23日死去したシンガポールの初代首相、リー・クアンユー氏(享年91)の国葬が29日、同国内の大学講堂で営まれた。安倍晋三首相や韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領をはじめ23カ国の首脳らを含む2200人が参列し、「アジアの時代」を切り開いた指導者を悼んだ。
国葬会場のシンガポール国立大に運び込まれた初代首相リー・クアンユー氏のひつぎ(29日)=ロイター
国葬の冒頭でリー氏の長男であるリー・シェンロン首相が挨拶し「亡くなったリー氏のおかげでシンガポールは国際的な舞台で影響力を示すことができた」と功績をたたえた。そのうえで「シンガポールを育てたリー氏の仕事を引き継ぐのが我々の役目だ」と国民に語りかけた。1965年の独立当時のリー氏を支えた指導者らも続いて弔辞を読み上げた。
シンガポール国民は同日、多くが黒い衣服を身につけて「建国の父」に最後の別れを告げた。リー・クアンユー氏のひつぎは自動車で国葬会場に運ばれ、沿道に詰めかけた市民からすすり泣きの声が漏れた。同国内にある2カ所のカジノは国葬中は営業を中断した。自主的に休業する百貨店もあった。
リー氏は建国から25年間にわたって首相を務め、同国を世界有数の富裕国に育てた。日米中の大国と等距離外交を貫き、20世紀後半を代表する指導者として存在感を示した。