ラグビーの世界最高峰リーグ「スーパーラグビー」に参戦している日本のサンウルブズは12日、東京・秩父宮ラグビー場でレッズ(豪州)と対戦し、63―28(前半29―14)で今季10戦目にして初勝利を挙げた。リーグ参戦3年目で豪州勢から挙げる初の白星で、63得点はチーム史上最多。
開幕から3カ月、サンウルブズが長いトンネルを抜けた。難産の初白星だったが、試合自体は「勝つ時はこんなものか」と映るほど計画通りに事が進んだ。
左足の正確なキックを持つSOパーカーを生かした。序盤から防御で圧力をかけ反則を誘うと、遠めからでもPGを狙う戦術を徹底。安定した放物線がポールを越える度に得点が重なり、「メンタル的にもかなり楽だった」とナンバー8の姫野は感謝する。
獲得率がリーグ最低だった自ボールのラインアウトは12本中11本を確保。201センチのロック、ハッティングが指示を出し、臨機応変に空いたスペースに球を配した。スクラムも安定し、試合を引き締めた。
日本のチームらしい精巧さが表れたのは前半33分。スクラムからSH流が左に出ると見せかけ、右へパス。防御の出足が乱れた所をFBエメリーがゴロキック。WTB福岡が俊足を飛ばしてつかみ、左の大外に展開。内から並走したパーカーにつながり、美しいトライが生まれた。「今までの集大成を見せてくれた。精度が高く、組織的だった」とジョセフヘッドコーチはたたえた。
ドラマ「スクール・ウォーズ」の主演を務めた俳優山下真司さんも駆けつけた国内最終戦。9連敗に「悔しくないのか」と活を入れられていた選手たちが、冷静に熱く戦い抜いた。(野村周平)