【シンガポール=黒瀬泰斗】安倍晋三首相は29日、シンガポールを訪問し、同国のリー・クアンユー元首相の国葬に参列した。現職首相による外国首脳の葬儀出席は異例だ。2015年度予算案の国会審議が大詰めを迎えるなか、0泊2日の強行日程を決めた背景には、中国の李源潮国家副主席や韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領ら首脳クラスが多く参列することもあったとみられる。
外務省によると日本の現職首相が外国の国葬に参列したのは1999年2月に当時の小渕恵三首相がヨルダン国王の葬儀に出席して以来。
安倍首相は現地でオーストラリアのアボット首相やインドのモディ首相、ビル・クリントン元米大統領らと握手やあいさつを交わした。
リー・クアンユー氏の国葬には当初、日本の首相経験者の派遣で調整していた。東南アジア諸国連合(ASEAN)が15年末に経済共同体(AEC)を創設し経済での結びつきを強めようとしているなか、中国が対ASEAN外交を強化していることなどから、安倍首相の強い意向で自身の参列となった。
首相は30日未明に帰国した。現地での滞在は6時間弱だった。