ベネッセコーポレーションの顧客情報漏洩事件で、同社の顧客情報が複数の名簿業者などを通じて、500社超に流出していたことが30日、警視庁生活経済課の調べで分かった。同課は同日、流出した名簿を転売した名簿業者、セフティー(東京・江東)の社長(45)と法人としての同社を不正競争防止法違反(営業秘密の取得・開示)容疑で書類送検した。
送検容疑は昨年5月、元システムエンジニア、松崎正臣被告(40)=同罪で起訴、公判中=が持ち出したベネッセの顧客データを購入し、同7月に熊本県の会社に約1万6千件のデータを転売した疑い。社長は「営業秘密であるとの認識はなかった」と容疑を否認している。
流出名簿の転売を巡っては、不正に取得された情報と知って売買したと立証するのが難しく、名簿業者が立件されるのは異例だ。
生活経済課によると、松崎被告は2013年7月~昨年6月、ベネッセから不正に入手した顧客情報をセフティーを含む名簿業者3社に売却した。データは別の名簿業者などを経て、教育関連会社など500社超に渡ったという。
同課によると、セフティーは松崎被告から12~13回にわたり、顧客データ延べ1億7800万件を計約280万円で入手。50社以上に約1600万円で転売したという。ベネッセが今年2月、警視庁に同容疑で告訴していた。
ベネッセは昨年9月、漏洩した顧客データは約3500万件に上るとの調査結果を発表していた。