世界保健機関(WHO)新型コロナウイルス発生源研究国際専門家チームのメンバーで、豪シドニー大学教授のドミニク・ドワイヤー氏はこのほど、「The Conversation」ウェブサイトへの寄稿文の中で中国での活動状況を振り返り、新型コロナウイルスが実験室から漏洩した可能性が極めて低いと強調した。新華社が伝えた。
ドワイヤー氏は「専門家チームは多くの取り組みを行い、中国側の科学研究者と交流した。早期の患者と会い、武漢で実地調査を展開し、さらに多くの資料を読んだ。既知の1人目の感染者より先に、武漢市で新型コロナウイルスの大規模感染が生じたとする確かな証拠はなかった」と話した。
ドワイヤー氏は、新型コロナウイルスが実験室から漏洩した可能性は極めて低いと強調した。専門家チームが武漢ウイルス研究所を訪問したところ、研究所の科学研究者の採血が定期的に行われていた。血液サンプルの検査でも、新型コロナウイルスの抗体は見つからなかったという。
中国・WHO新型コロナウイルス発生源研究共同専門家チームが2月9日に武漢市で開催した記者会見によると、共同専門家チームは新型コロナウイルスのヒトへの感染を招いた、自然宿主からの直接的な感染、コールドチェーン食品、中間宿主、実験室という4つの可能性について科学的な評価を行った(「可能性が極めて低い」「可能性が低い」「可能性がある」「可能性が高い」「可能性が極めて高い」の5段階)。中間宿主からヒトへの感染は「可能性が高い」、自然宿主からの直鉄的感染またはコールドチェーン食品からヒトへの感染は「可能性がある」、実験室からヒトへの感染は「可能性が極めて低い」とした。
ドワイヤー氏は「現在の研究によると、新型コロナウイルスの発生源が動物の可能性が最も高いが、動物からヒトに感染した場所については未だ不明だ。武漢とは限らず、さらに別の場所で研究を行う必要がある。またコールドチェーンによる感染といった仮説についても、さらに研究を進めなければならない」と話した。
ドワイヤー氏は「中国における調査は第1段階に過ぎず、関連する正式な報告書は数週間内に発表される可能性がある。調査者はより多くの場所で、2019年の早い段階の新型コロナウイルスの欧州における感染拡大の状況などの関連データを収集する。調査者はまた野生動物などのモニタリングを継続し、ウイルスの痕跡を探る」と述べた。(編集YF)
「人民網日本語版」2021年2月25日