年間の流出量が数百万トン以上といわれ、環境への影響が懸念されている海のプラスチックごみの実態を解明するため、スイスの環境保護団体「レース・フォー・ウオーター」がフランス・ボルドーから船で世界一周の旅に出た。東京など世界各地に立ち寄り、12月中旬にボルドーに戻る。
同団体は「世界的な関心が十分とは言えない海のプラスチックごみ問題に対する人々の意識向上につながってほしい」と期待している。
マルコ・シメオニ代表ら6人は全長21.2メートル、幅16.8メートルの船で3月15日にボルドーを出発。太平洋や大西洋、インド洋にある計5つの巨大なプラスチックごみのたまり場を調査する。途中ニューヨークや東京、上海、南アフリカのケープタウンやブラジル・リオデジャネイロなどに寄港、約10カ月の旅となる。
たまり場は海流で運ばれたプラスチックごみが渦状の巨大な流れに取り込まれて集まり形成される。大きいものは日本の面積の何倍にも及ぶ。5つのたまり場全てを一度に調査し体系的に分析する試みは今回が初めてという。
超小型無人機を飛ばして上空から写真を撮影しプラスチックごみが分布する海域の図を作製。付近の島々も訪問し住民に健康被害がないかなどの聞き取り調査も行う。
シメオニ代表は「プラスチック(ごみ)はわれわれが直面する最悪の環境災害の一つ。海洋からプラスチックごみをなくすための解決策を探りたい」と話している。(ボルドー=共同)