新年度のスタートとなった1日、企業が一斉に入社式を開いた。厚生労働省によると、今春の新入社員(大卒・高卒・専修学校卒などを含む)は約75万人(2月時点)。円安などを追い風に好業績の企業も目立つなか、グローバル対応や新規事業の創出など課題も少なくない。トップは新人への訓示に、次の成長を担う人材になってほしいと強い期待を込めた。
パナソニックの入社式で、津賀社長(前列中央)と記念写真に納まる新入社員ら(1日午前、大阪府門真市)
パナソニックは1日、大阪府門真市の本社で入社式を開いた。昨年より7割多い600人が参加。ここ数年は経営環境の悪化などで採用を絞っていたが、2003年以来の高水準となった。津賀一宏社長は業績の改善に触れ「今年は成長に向けた第2幕をスタートする年だ」と呼びかけた。
トヨタ自動車の入社式には1504人が出席した。豊田章男社長は「与えられたどんな仕事、環境でも、当事者意識を持って徹底的にやりぬいてほしい」と語りかけた。
トヨタ自動車の入社式で豊田章男社長の訓示を聞く新入社員(1日午前、愛知県豊田市)
15年3月期に営業最高益を更新する見通しの日立製作所。東原敏昭社長は「成長し続けるマインドを持ってもらいたい」と話した。
建設業界は東北の被災地復興や東京五輪など大きな事業が相次ぐ。大成建設は昨年より4割近く多い301人が入社式に臨んだ。1日付で就任した村田誉之社長は「入社年次に関係無く挑戦ができる」と激励した。
今年は新任社長の発言も注目された。32人抜きで社長に昇格した三井物産の安永竜夫社長は150人の新入社員に向け「今日は私にとっても第一歩を踏み出す日」と挨拶。「徹底的に結果にこだわり、存在感のあるプレーヤーになってほしい」と期待を込めた。
YKKは富山県黒部市で全国採用の社員を対象に22年ぶりに入社式を開いた。北陸新幹線の開業に合わせて東京の本社機能の一部を順次移転しており、猿丸雅之社長は「技術の総本山としての黒部の位置づけを再確認してほしい」と話した。
ファミリーマートと経営統合交渉中の小売り大手、ユニーグループ・ホールディングス。佐古則男社長は「人口減の中で新たな国内ニーズ、海外ニーズにチャレンジする時代に来ている」と意気込みを語った。
金融では日銀の入行式に106人の新入行員が出席。黒田東彦総裁は2%の物価安定目標の実現に向けて「日本経済は着実に歩みを進めている」と強調した。
三井住友銀行の入行式にはメガバンクで最多となる1813人が出席した。同行は採用を増やし育児休暇などを取りやすくしており、国部毅頭取は「全行を挙げて女性の活躍推進に取り組んでいる」と語った。