桜美林大(本部・東京)が、航空パイロット養成コースの実施訓練について、国土交通省から不備を指摘されていたことが2日分かった。指摘後、桜美林大は国の養成施設としての指定を返上した。
国交省によると、桜美林大の「フライト・オペレーションコース」は、学生の実機による訓練をニュージーランドの民間養成施設に委託。現地の教官を任用する際の操縦技術の確認や年1回の定期審査を怠り、学生の訓練記録にも記載漏れや誤記があったという。
国交省は1月に是正を指導し、桜美林大は3月24日付で「航空従事者養成施設」の指定を返上した。
養成施設の指定を受けると、国交省の試験官に代わって大学の教官が国の技能審査を実施できる。桜美林大は2012年に指定され、ほかに東海大と法政大が指定を受けている。桜美林大は返上後もコースを継続するが、学生は国交省の試験官の審査を受ける必要がある。
桜美林大の技能審査でライセンスを取得した在学生10人に対しては、国交省の試験官が技量に問題はないことを確認したという。
桜美林大の広報担当者は「ニュージーランドの施設は実績もあり、大学独自の確認は不要だと思った」と説明。4月末までに改善策をまとめる予定という。
格安航空会社(LCC)の就航増などを背景にパイロット不足が深刻になっている。国交省の審議会は昨年、私立大をパイロット養成の柱の一つに位置づけている。