北海道と青森県を結ぶJR津軽海峡線青函トンネル内で3日午後5時15分ごろ、「特急列車スーパー白鳥34号」(6両編成)で白煙や火花が発生し緊急停止した。乗員・乗客計129人は近くの旧竜飛海底駅(青森県外ケ浜町)まで移動し、ケーブルカーで地上へ避難している。JR北海道は「ご迷惑をおかけし申し訳ない」(広報担当者)と話している。
青函トンネル内を走行中の特急列車内に煙が立ちこめ、旧竜飛海底駅の地上出口付近に集まった消防関係者(3日、青森県外ケ浜町)=共同
北海道から津軽今別駅(青森県今別町)に向けて走行中、旧竜飛海底駅から青森側に1キロ通過した地点で車掌が異臭を感じ、外を見ると、前から2両目の5号車の床下で白煙と火花が出ていた。非常ブレーキで停止し、運転士が車外に出て消火にあたり、車掌は乗客を後方車両に誘導した。
車外に避難した後、数人の乗客が体調不良を訴え、ストレッチャーで搬送した。青函トンネルで列車の乗客が避難するトラブルは1988年3月の開業後初めてという。避難した乗客はバスで青森に送り届けた。
車両はJR北海道が保有する789系で、2002年に使用を始めた。同社によると、3日の運行前には数日に1度の定期検査をしたが、異常はなかったという。
旧竜飛海底駅は海面下約135メートルに位置し、北海道新幹線開業に向けた工事のため14年3月に廃止された。災害時の避難用としては現在も使われている。
同社では11年に石勝線トンネル内で特急列車の脱線火災が発生。国土交通省から事業改善命令を受けたが、13年以降も走行中の特急列車から出火や発煙する事故やレールの異常放置、検査データ改ざんなど不祥事が相次いだ。14年1月に鉄道事業法による2度目の事業改善命令とJR会社法に基づく初の監督命令を受け、経営陣を刷新し安全対策を強化していた。