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米6月利上げ説が後退 雇用・物価上昇、勢い欠く

作者:佚名  来源:nikkei.com   更新:2015-4-4 9:05:46  点击:  切换到繁體中文

 

【ニューヨーク=佐藤大和】3日発表の3月の米雇用統計は前月比の雇用者増加数(非農業部門)が12万6000人と事前予想の半分に低迷した。将来の物価動向に影響を及ぼす点で注目される時給上昇率も前年同月比2.1%の上昇にとどまった。米連邦準備理事会(FRB)が最短シナリオと説明していた「6月利上げ」の可能性は後退するとの見方が市場では多い。


米ウォルマートは4月に最低賃金を引き上げた(ロサンゼルスの店舗)=ロイター


 


米ウォルマートは4月に最低賃金を引き上げた(ロサンゼルスの店舗)=ロイター


雇用統計の発表を受けた3日朝のニューヨーク債券市場で長期金利が低下(価格は上昇)した。FRBによる事実上のゼロ金利政策が長引くとみた市場参加者による債券買いが膨らんだ。


外国為替市場ではドルを売って円を買う動きが加速。米国の景気回復ペースが鈍化すると見込んだ取引が増え、円相場が前日終値より約1円円高・ドル安の1ドル=118円71銭前後まで上昇する場面があった。米株式市場は聖金曜日で休場だった。


FRBのイエレン議長は3月の講演会で「いまは利上げの時期の結論を出していないが、年内には可能になるとみている」と発言した。6月以降、年内5回の米連邦公開市場委員会(FOMC)のいずれかで11年ぶりとなる利上げ開始に踏み切る可能性を示した。



 


FRBは利上げの前提条件として「雇用の改善が続き、物価上昇率も2%に戻るという合理的な確信が得られるとき」と説明する。


「雇用の改善」をめぐっては、2月まで前月比雇用者増加数が「20万人」の節目を12カ月連続で上回り、着実な進展を示していた。3月の数字はこの流れに水を差した格好だ。原油安の影響でシェール開発が苦境にある鉱業や、住宅開発が盛り上がりに欠ける建設業の採用が不振だった。ただ雇用統計は本来、毎月のぶれが大きい指標で「雇用の回復が変調をきたしたとみるのは早計」(バークレイズ)との見方が大勢だ。


一方、現時点で利上げに向けた「確信」を得るのにほど遠いのが物価上昇率だ。


2月の個人消費支出価格指数(食品、エネルギーを除くコア)は前年同月比1.4%上昇と、FRBが目標とする「2%」をほぼ3年にわたって下回る。物価上昇率がゼロやマイナスに転落し、経済全体が活力を失う日本型のデフレに陥るのをFRBは恐れており、十分な「のりしろ」を確保したい考えだ。


物価が勢いを欠く主因の一つが賃上げの停滞だ。金融危機前まで前年比でみた賃金上昇率が3%を超えていたにもかかわらず、足元では2%前後で一進一退だ。緩やかながら米国の景気回復は続いているが、所得は伸び悩み、消費も盛り上がらない。おのずと物価にも上昇圧力がはたらきにくい。


とはいえこれまでの「昇給なき雇用増」に変化の兆しもある。


全米自動車労組は今秋、12年ぶりに賃上げを要求する方針だ。金融危機のあおりでゼネラル・モーターズ(GM)が破綻するなど混迷したが、業界の収益は十分に回復したと判断した。


全米最大の民間雇用主であるディスカウントストア首位のウォルマート・ストアーズは今月、米国内に50万人いる時給制の従業員の最低賃金を時給7.25ドルから9ドルに引き上げた。2位のターゲットも追随した。


賃金上昇が鈍い建設業やドル高の逆風にさらされている製造業や中小企業にも広がるかが焦点になる。「緩やかに賃金上昇率は高まり、FRBは9月に利上げに踏み切る」(バンクオブアメリカ・メリルリンチのハリス氏)との見方が浮上している。



 

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