【ドバイ=久門武史】2日に公表されたイラン核開発問題の解決に向けた枠組み合意について、同国の最高指導者ハメネイ師が公の場での発言を控えている。欧米など6カ国を相手にした合意でイランは核開発を大幅に縮小すると約束した。これに批判的な国内強硬派の動きを見極めようとしている可能性もある。
イランで大統領は行政権を持つだけで、全般の決定権を握る国政トップは最高指導者だ。ハメネイ師はかねて核交渉を巡る米国への不信感を表明していた。ただ、同国のロウハニ大統領は合意を受けた3日の演説で「最高指導者の支援に感謝する」と付け加えた。内容がハメネイ師のお墨付きを得たことを強調したと受け止められている。
大統領は6月末までの最終合意を目指すが、それにはハメネイ師の了解が必要だ。最高指導者に直属の精鋭部隊、革命防衛隊などに目立つ強硬派には核開発の制限に対する不満が渦巻く。イラン保守系紙「ケイハン」のホセイン・シャリアトマダリ編集長は「馬を手放した代わりに壊れた手綱を受け取った」と同国の通信社に述べ、合意内容を批判した。