カーター米国防長官は8日、日本側との一連の会談で、米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の同県名護市辺野古沿岸への移設を着実に進める方針を確認した。中谷元・防衛相とは「普天間基地の継続使用を回避するための唯一の解決策」との認識で一致。辺野古移設の阻止をめざす沖縄県の動きに米国は気をもんでおり、日本政府は強い意志を明確に示した格好だ。
「非常に大事なものと認識している」。防衛相は会談冒頭で、国防長官に辺野古移設の推進を強調した。沖縄基地の負担軽減を担当する菅義偉官房長官は、5日の沖縄県の翁長雄志知事との会談に触れ、厳しい地元の世論を伝えた。辺野古移設に沖縄県の理解を得るため、日米が合意している嘉手納基地以南の施設・区域返還について計画を前倒しするなど、沖縄の負担軽減への協力を求めた。
国防長官は菅長官に「沖縄の負担軽減に協力する」と応じ、辺野古移設に向けた日本政府の努力を後押しする姿勢を示した。日米両政府は普天間移設の時期について「2022年度またはその後」で合意している。米政府としては、日本国内の政府と沖縄の対立によって米議会に計画が遅れている印象を与えるのは避けたい。
一方、沖縄県内は昨年の知事選や衆院選小選挙区で辺野古移設の反対派が相次いで勝利しており、容認に転じる雰囲気はない。同県幹部は8日、日米両政府が辺野古移設を再確認したことを「知事が菅長官に沖縄の考えを伝えても政府の姿勢は変わらない」と批判した。
翁長氏は米政府に直接移設反対を訴えたい意向。7日には在沖縄米軍トップのウィスラー沖縄地域調整官らと面会し、ケネディ駐日米大使との会談を要請した。5月以降には自ら訪米し、米政府関係者との面会を調整している。