安倍晋三首相は8日の参院予算委員会で、太陽光や風力など再生可能エネルギーについて「エネルギーの安全保障の強化や低炭素社会の創出の観点から重要な電源だ」と述べた。そのうえで「国民負担の抑制と電力安定供給を確保しながら、再生可能エネルギーの最大限の導入に向け、政府として全力をあげる」と、積極的に導入する考えを示した。
首相は「原子力発電の依存度を可能な限り低減する基本方針に変わりはない」と強調した。再生エネは「発電コストが相対的に高いなどの課題はある」とも指摘し、技術開発や規制改革を推進する方針も説明した。
安倍政権の経済政策「アベノミクス」に関しては「間違いなく経済の好循環は生まれている」との認識を表明。「景気回復の実感が地方に暮らす方や中小・小規模事業者で働く方に届いていないのも事実だ」としたうえで、33道府県が当初予算で法人2税(事業税と住民税)の2桁増収を見込んだことなどを例に「地方もだんだん良くなっている」と語った。
政府が進める雇用分野の改革を巡っては「ワークライフバランスを確保するのが目的の柱だ」と訴えた。野党の批判には「正社員をゼロにするとか、過労死を拡大するとか、解雇を自由にするといった指摘は全く間違っている」と反論した。
環太平洋経済連携協定(TPP)交渉は「日米間の協議はまだ多くの課題が残っている。まさに着地点を探っている。必要のない妥協をすることは当然ない」と力説した。ヘイトスピーチと呼ばれる差別的発言に関しては「他の国や民族、文化に対して憎悪をあおるようなヘイトスピーチは断じてあってはならない。日本国内で行われることがないようにしたい」と話した。