景気指標に強弱が入り乱れ、景況感の判断が難しくなっている。内閣府が8日発表した3月の景気ウオッチャー調査によると、足元の景気実感を示す現状判断指数は4カ月連続で改善した。賃上げや原油安で消費者の心理が前向きになっている。一方、企業の景況感はやや力強さを欠き、先行きの見通しも慎重だ。
景気ウオッチャー調査は、小売店などで働く約2千人に景況感を聞いている。現状判断指数は2月と比べ2.1ポイント上昇し52.2だった。景況感の分かれ目となる50を2カ月連続で超えた。2~3カ月後の景気を占う先行き判断指数も4カ月連続の改善だった。内閣府は基調判断を上方修正し、「緩やかな回復基調が続いている」とした。
「株高や賃金増で消費マインドはわずかながら上がりつつある」(四国の商店街)、「受注が多く入っている状況で人手が足りない」(東北の電機器具製造業)との声が出ている。増税の影響が一服したところに原油安や賃上げが重なり、消費者心理が上向いた。
企業部門の景況感はいまひとつだ。3月の日銀短観は、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数がプラス12で2014年12月調査と同水準。3カ月後の見通しはプラス10と先行きはやや鈍る。
足元の企業の生産活動を示す統計ともねじれがある。2月の鉱工業生産指数は1月に比べ3.4%下がり、3月も減産の見通しだった。自動車や家電の国内販売がまだ弱く、生産に結びついていない状況だ。消費者心理の好転が実際の消費増につながり、企業の生産や投資が増えるかが景気の先行きを左右する。