日本刀をモチーフにしたインターネットゲームのヒットをきっかけに、女性たちが日本刀に熱い視線を送っている。日本刀に関する一部の書籍も大増刷されるなどブームになっている。
ゲームはDMMゲームズがネットで提供する「刀剣乱舞―ONLINE―」。名刀を擬人化した美男子キャラクター「刀剣男士」を集め、合戦を通して育てる。人気声優が声を担当していることもあり、ゲームを楽しむ7割が女性という。
ブームに出版社も応えている。河出書房新社は昨年8月刊行の文庫本「日本刀 妖しい魅力にハマる本」を増刷し、累計9万5千部となった。書店で買う6割ほどが女性という。宝島社も1月、「別冊宝島 日本刀」と題したムック本を刊行し、早々に増刷を決定。日本刀愛好家だった高倉健さんの記事を掲載するなど男性読者を意識した構成だったが、女性の購入者が半数近いという。
紀伊国屋書店新宿本店(東京・新宿)は1月末から4月上旬にかけ、日本刀に関する様々な本を集めた特設コーナーを設置した。企画したのは同店の池上晃子さん(34)ら刀剣乱舞ファン。池上さんは「ゲームをやると日本刀の来歴がどうなのかなど背景をもっと詳しく知りたくなる。日本刀に興味を持つきっかけになればいい」と話す。
ファンは実物の名刀を見るため、各地の美術館や博物館にも足を運んでいる。
徳川美術館(名古屋市東区)では2月、所蔵する脇差し「鯰尾藤四郎(なまずおとうしろう)」の特別公開を始めた。当初は4月中旬までの予定だったが、好評のため1カ月延長した。
鯰尾藤四郎目当てで同館に来たという茨城県つくば市の大学3年の女性(20)は「好きなキャラクターの元になった刀はどういう人が作ったのか、どんなところがキャラクターの性格に反映されているのかとか、考えるのが面白い」と話した。〔共同〕