KADOKAWAとドワンゴの経営統合について、記者会見で説明する角川歴彦(左)と川上量生(右端)=2014年5月、東京都中央区
KADOKAWA会長の角川歴彦(つぐひこ、73)のところに、「黒船」が来たのは2012年のことだった。カナダのコボ、米グーグル、アマゾン、アップルの担当者が、夏から翌春にかけて相次いで訪れ、口々に「我々の電子書籍事業に協力してほしい」と求めてきた。
電子書籍のプラットフォーマー、変革を語る
電子化の波を予感していた角川には、三つの選択肢があった。書籍を電子化して提供するにとどめるか。電子書籍の配信を手がけるプラットフォームになるか。さらに進んで、アマゾンのようにハード(端末)まで出すか。
まずハードを出せるか考えた。電子インクの技術を持つ台湾企業を訪れたが判断は「ノー」。「表示は単色。iPhoneやiPadでも読めるのだから、これではなかなか難しい」
思い至ったのはプラットフォームづくりだ。アマゾンは当時、対立した出版社の本を自社サイトで買えなくし、出版界に衝撃を与えた。「外資はプラットフォームの力をてこに独自のルールをつくる。ルールに乗らないとダメというのは、ものすごいリスク」と担当執行役員の安本洋一(52)。
角川は講談社や小学館などの出版大手に「連携して黒船の対抗馬をつくろう」と電子書籍の配信プラットフォームへの参画を説いたが同調者はいない。結局、自社直営の電子書籍販売サイト「ブックウォーカー」を他社に開放した。
自社が強いライトノベル(ラノ…