【ワシントン=川合智之】米民主党のヒラリー・クリントン前国務長官(67)が12日に2016年の米大統領選挙に出馬表明したのに対し、「本命」の出馬を受け、共和党は早くもライバルの追い落としを狙う批判を展開した。クリントン氏の出馬表明が予測より遅れたことで米メディアの記者からも不満が出ており、クリントン氏と報道陣との関係が悪くバッシングを浴びた08年大統領選を思い出させるとの懸念も出ている。
大統領選への出馬を表明したクリントン氏のツイッターの画面。左はロゴマーク=ロイター
共和党全国委員会は12日、「ストップヒラリー」と題した署名活動を始め「クリントン氏阻止に結集しなければならない」と訴えた。クリントン氏は指名獲得前にもかかわらず、本命候補とみて異例の個人攻撃に打って出た。
現時点では共和で支持率が最も高い有力候補とされるジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事(62)は声明で「8年間の民主党政権は莫大な損害を与えており、さらに4年間クリントン氏が率いれば事態は悪化するだけだ」と非難した。
出馬表明済みのランド・ポール上院議員(52)は12日放映のテレビ広告で「権力のおごり、汚職と隠蔽、利害対立、指導力の欠如」とクリントン氏を名指しで批判した。クリントン氏の指名獲得を見越し、各候補はクリントン氏との違いを強調して支持獲得を訴える。
一方、クリントン氏の出馬表明は、事前の報道で「ツイッターで正午(日本時間13日未明)に出馬表明する」とされたが、2時間以上過ぎても出馬表明はなかった。米担当記者からは、ツイッターに不満の投稿が相次いだ。
結局、選対関係者が午後2時半ごろに支援者向けに送った「ヒラリーは大統領に立候補した」というメールが最初の公式表明となった。本人による出馬表明より前に、関係者が出馬を明らかにするのは珍しい。
その後、午後3時ごろに公式ホームページで、本人が「大統領に立候補する」と出馬する意向を語る動画を載せた。ツイッターでの出馬表明は午後3時半まで遅れ、娘のチェルシー・クリントンさんが先に「とても尊敬します、お母さん」とツイッターに投稿した。
08年大統領選ではクリントン氏は当初、民主予備選で最有力候補とされたが、失言でバッシングを浴びるなど支持を落とした。この結果、若手上院議員として注目を集めたオバマ米大統領の逆転を許した。