2015年1月から床版パネルの架設を始めた「箱根西麓・三島大吊橋」。完成すれば日本最長の人道吊り橋となる。
「単径間無補剛」という橋梁形式の吊り橋で、主径間は長さ400mに達する。これは、大分県九重町で2006年に開通した日本最長の人道吊り橋「九重“夢”大吊橋」の主径間長390mを上回る。
「P3主塔側」の尾根から望む吊り橋と富士山。2015年1月27日時点で、全体のおよそ半分の床版パネルの架設を終えていた(写真:大村拓也)
工事を発注するのは、静岡県三島市を中心にパチンコ店や飲食店を展開するフジコー(三島市)だ。同社は2010年、観光開発事業に参入。その一環として、2012年にこの吊り橋の整備に着手した。
そのため、建設中の吊り橋は、「観光用施設」という位置付けだ。吊り橋の橋面は、標高415m付近にある。駿河湾から富士山までを見渡せる眺望を、施設のセールスポイントに据えている。
箱根西麓・三島大吊橋の側面図(資料:川田工業)
■国道から床版が見えぬよう隠す
周辺に整備する施設を含めると、この吊り橋を造るための総事業費は約30億円に及ぶ。施設の開業は、2015年12月ごろを目指している。
架橋地点は、国道1号を神奈川県との県境に当たる箱根峠から三島市中心部へと下る際の中間付近に位置する。
ところが、三島大吊橋は橋のすぐ南側を通る国道からは主塔(メーンケーブルを支える塔)しか見えない。南北方向に伸びる橋のうち、南側の「P3主塔」を尾根の上に立て、尾根を壁にして吊り橋の床版が隠れるようにした。
吊り橋の通行料を払った人だけが橋の全景や橋からの眺望を楽しめるようにするというフジコーの意向を、施設全体の設計に反映したのだ。