【ワシントン=川合智之】ケリー米国務長官は13日、ロシアのラブロフ外相と電話で協議し、ロシアがイランへの高性能地対空ミサイル「S300」の禁輸措置を解除したことについて懸念を伝えた。プーチン大統領が同日、米欧ロなど6カ国とイランの核問題を巡る枠組み合意を受け、禁輸は不要になったとして大統領令に署名していた。米国務省のハーフ報道官代行が同日の記者会見で明らかにした。
2010年の国連安全保障理事会のイランへの追加制裁決議を受け、S300の供給契約はいったん破棄された。ハーフ氏は「(禁輸解除は)安保理決議には違反しない」としたが、イランがイエメンやシリア、レバノンで武装組織などを支援し地域情勢を不安定にしていることから「(イランに)武器を供与すべき時ではない」などと指摘した。
米は核協議が最終合意に達するまで制裁を続けるべきだとしている。アーネスト米大統領報道官も同日の記者会見で「深刻な懸念を招く」と述べた。