東京大学の小林修教授らは、医薬品となる化合物を効率よくつくる製法を開発した。化学反応を促す触媒をパイプに詰め、原料を流し込むだけで望み通りの物質が出てくる。従来の方法に比べて省エネルギーで低コストという。実験では抗炎症剤に使う化合物ができたが、他の化合物にも応用できる。成果は英科学誌ネイチャー(電子版)に16日、掲載される。
新製法はパイプのような装置の途中で複数の化学反応が起きる。抗炎症剤に使う「ロリプラム」という物質の合成を試みたところ、8通りの連鎖反応を経て純度が98%になった。
医薬品となる化合物の合成は、これまでは反応容器に原料を入れて1つの反応を終わらせて、再び別の容器に移して次の反応をさせる作業を繰り返していた。複雑な構造を持つ化合物になると容器を移し替える回数が増える。手間やコストがかかるのが難点だった。