広島空港でアシアナ航空機が着陸に失敗した事故で、主翼の下にある左右2つのエンジンが、いずれも滑走路手前の無線設備にぶつかった上、着地後に左エンジンが地面に接触したとみられることが18日、運輸安全委員会の調査で分かった。
着陸に失敗した、アシアナ航空機のエンジン付近を調べる事故調査官ら(18日、広島空港)=共同
運輸安全委によると、左エンジンはカバーが剥がれて部品がむき出しになり、泥が付着していた。機体は、無線設備と滑走路の間にある草地でバウンドし、滑走路からそれて南側の草地で反転して止まったとみられる。
運輸安全委が、現場の痕跡や損傷箇所を照合した結果、無線設備と接触した後、左エンジンがどちらかの草地で接地した可能性が高い。
運輸安全委の事故調査官は、エンジンの損傷次第では「大変なことが起きていた」と指摘。エンジンが翼から外れることはなかったが、主翼には燃料が入っており、脱出時の爆発などの重大事故につながる危険性を示唆した。
14日の事故直後には、「着陸の瞬間にバウンドした。エンジンから炎が出ているのが見え、煙が機内に入ってきた」との乗客の証言もあった。
また、安全委は草地の泥だけでなく、滑走路への接地を示すものがエンジンに付いていないかどうかを調査。18日、機体のチェックや機長らの聴取などの現地での作業を終えたと明らかにした。最終報告書をまとめるまで2年ほどかかるとしている。
アシアナ航空は18日、ホームページで、事故機の全乗客に一時見舞金として5千ドル(約60万円)を支払うことを明らかにした。
〔共同〕