東京都江東区が今春から、養蜂事業に乗り出した。ミツバチ3万匹を育てハチミツを採り、将来的には学校や保育園の給食や環境教育に役立てる。自治体が養蜂に取り組むのは全国的にも珍しく、担当者は「都市部でも街路樹や公園、マンションの植栽などに多くの花が咲き、十分な量の蜜は採れる」と自信を見せる。
2013年、当時区民課長だった速水俊成さん(61)が同僚と「長野で蜂の子を食べたことがある」と雑談になったのがきっかけ。近くの東京・銀座ではNPO法人が養蜂に取り組んでおり、「江東区でもできるのではないか」と、区に提案して実現にこぎ着けた。
昨年度は職員が銀座などでノウハウを学び、今年3~4月にかけ、区役所そばの防災センター屋上に巣箱3箱を設置した。区職員ら約20人が仕事の合間に巣箱のチェックや水場の管理などの世話を続けている。ミツバチたちは活発に動き回っており、夏までにハチミツ50キロの収穫を目指している。
速水さんは「今後はNPO法人を設立して、区だけではなく、民間も一緒に取り組んで地域活性化につなげたい」と話している。〔共同〕