NHKの報道番組「クローズアップ現代」でやらせがあったと指摘されている問題で、NHKの調査委員会は28日、過剰な演出や事実関係の確認不足があったとする調査報告書を発表した。架空の場面を設定して演技させるなどの「やらせ」はなかったと結論づけた。
NHKは取材を担当した大阪放送局の男性記者(38)を停職3カ月とするなど15人を懲戒処分。籾井勝人会長ら役員4人は役員報酬の一部を自主返納する。調査委員長の堂元光副会長は記者会見を開き「視聴者の期待に反する製作が行われ、誠に遺憾。心よりおわびする」と述べた。
NHKは同日午後7時半から報告書の内容を説明する特別番組を放送。番組の国谷裕子キャスターが改めて謝罪した。
昨年5月放送の「追跡“出家詐欺”~狙われる宗教法人~」はブローカーを介した多重債務者が名前を変え、融資をだまし取る手口を紹介。ブローカーとして登場した男性は3月、週刊誌で「記者に頼まれ架空の人物を演じた」と証言した。
報告書は男性がブローカーかどうかの裏付け取材がされておらず「断定的に伝えたことは適切でなかった」と指摘。事前に設定されていた相談場面をあたかも隠し撮りのように報じたことも「社内ガイドラインを逸脱した過剰な演出」だったと結論付けた。
またNHKの最高意思決定機関である経営委員会は28日、籾井勝人会長が私的に使ったハイヤー代がNHKに請求されていた問題で、籾井会長に厳重注意した。経理処理をした秘書室長は、NHKが訓告処分とした。