【ハバナ=共同】岸田文雄外相は2日午前(日本時間同日夜)、キューバのロドリゲス外相と首都ハバナで会談した。キューバと米国との国交正常化を見据え、政府開発援助(ODA)を拡充する考えを伝達。経済制度改革を後押しするため、両国の政府と企業関係者による「官民合同会議」の新設でも合意した。
会談で握手する岸田外相(左)とロドリゲス外相(キューバ外務省)=共同
岸田氏のキューバ訪問は、日本の外相として初めて。キューバは観光や天然資源に恵まれており、将来の日本企業による進出や投資拡大をにらみ関係強化を図る。会談では、キューバと友好関係にある北朝鮮に対し、日本人拉致問題解決への働き掛けも要請した。
会談後、岸田氏は記者団に、ラウル・カストロ国家評議会議長と同日午後に会談することが決まったと明らかにした。
岸田氏は冒頭のあいさつで、ODAについて「本格的に無償資金協力を実施したい」と表明。米国とキューバの国交正常化交渉を歓迎する意向を伝えた。ロドリゲス外相は「日本は最大の友好国であり、投資や貿易、科学技術といった全ての分野で関係を強化したい」と述べた。
会談で岸田氏は、これまで小規模案件にとどまっている無償資金協力に関し、がん治療に使う医療機器の提供といった本格的な実施を検討する考えを示した。今年秋に実態調査に入り、来年度にも数億円規模のプロジェクトを実施する。
今秋の立ち上げを目指す官民合同会議をめぐっても議論。キューバは投資を呼び込むための外資法改正や自営業拡大といった改革に取り組んでおり、日本が求める雇用や税制の見直しなどビジネス環境の整備と共に議題とする方針を確認した。
このほか、日本が常任理事国入りを目指す国連安全保障理事会の改革について理解を求めた。