【ニューヨーク=杉本貴司】米マクドナルドが4日、再建策を発表した。本拠の米国以外を地域別から市場の特性に応じた管理体制に改める。フランチャイズ店の比率を現在の81%から90%に高め、2017年末までに一般管理費を年3億ドル(約360億円)削減する。だが、世界的な客離れに歯止めをかけられるかは未知数だ。
「我々のビジネスをリセットし転換させる最初のステップを踏み出す」。マクドナルド再建を託されて3月に就任したスティーブ・イースターブルック最高経営責任者(CEO)は、今回の再建策をこう表現した。
まずは7月1日付でこれまでの地域別管理体制を改める。現在は米国、欧州、アジア太平洋中東アフリカ、その他で分けていた。今後は米国以外は市場の特性ごとに、すでに高い利益水準の「国際リード市場」(英国、フランスなど)、「高成長市場」(中国、韓国、ロシアなど)、基礎的市場の3つに分ける。
その上で出店形態を見直し、18年までに現在の世界の店舗数の1割弱にあたる3500店を新たにフランチャイズ化する。管理体制をスリム化させる狙いだ。
ただ、今回の再建策では喫緊の課題である顧客離れにどう対応するか、具体策は見えてこない。管理体制を現状維持とする米国の既存店売上高は2年連続で前年割れ。「食の安全」を売り物にする新興チェーン店に顧客が流れているためだ。
苦戦するアジアでの巻き返しも急務だ。昨年7月に期限切れ鶏肉問題が発覚した中国では「今年半ばには通常の状態に戻る」(イースターブルック氏)と楽観視している。だが、中国では現地資本のファストフード店が手薄だった内陸部にも出店を拡大するなど競争が激化している。日本も不採算店の閉鎖や人員削減、店舗の改装など改善案を掲げるが、失った客足を取り戻せるかは不透明だ。