【ワシントン=吉野直也】オバマ大統領は5日、今秋に退任予定の米軍制服組トップのデンプシー統合参謀本部議長の後任にダンフォード海兵隊総司令官(59)を指名する方針だ。米メディアが一斉に報じた。統参議長は大統領と国防長官に軍事的な助言をするのが役割だ。上院で承認されれば、海兵隊から2人目の統参議長の誕生となる。
ダンフォード氏は陸軍大を卒業後、ジョージタウン大院とタフツ大院で修士号を取得。2003年に起きたイラク戦争に部隊指揮官として参加した。13年2月から14年8月までアフガニスタン駐留軍司令官を務め、同年10月に海兵隊総司令官に就任した。
オバマ政権はイラクやシリアにまたがって蛮行を続ける過激派組織「イスラム国」(IS)の掃討と16年末を期限とするアフガン駐留米軍の撤退という二つの大きな課題を抱える。オバマ氏は実戦経験が豊富で、中東情勢に精通したダンフォード氏が次期制服組のトップとしてふさわしいと判断した。
オバマ政権では内戦のシリアやISの対応を巡りヘーゲル前国防長官とオバマ氏側近が対立した。11年10月に統参議長に就いたデンプシー氏がホワイトハウスと米国防総省の調整役を果たしていた。米国防政策はホワイトハウスが主導する傾向にあり、ダンフォード氏の出方に関心が集まる。