【ワシントン=川合智之】アーネスト米大統領報道官は4日、米南部テキサス州ダラス郊外でイスラム教の預言者ムハンマドの風刺画展での発砲事件について「攻撃的な表現だったとしても、暴力は正当化されない」と犯行を批判した。オバマ大統領は昨夜に事件の報告を受けたという。
アーネスト報道官は「過激派は米国だけでなく世界中で、攻撃的な表現を暴力を正当化する材料にしてきた」と指摘。オバマ大統領はそうした行為を正当化できないと考えていると強調した。
国連の潘基文事務総長も4日、米ダラス近郊での発砲事件を受けて「犯罪行為は宗教や信条に関係ない」と強調。「思想は民主的な対話でのみ守られ、暴力は正当化されない」と非難する声明を発表した。また「表現の自由と寛容さは平和な社会の重要な要素で、守られなければならない」と訴えた。
風刺画展はイスラム教に批判的なニューヨークの団体「米国の自由と防衛イニシアチブ」が主催した。事件の容疑者の男2人は警察官にその場で射殺され、警備員1人が撃たれて負傷した。
複数の米メディアによると、2人のうち1人は米連邦捜査局(FBI)が数年にわたり監視してきたエルトン・シンプソン容疑者(30)。イスラム教の聖戦「ジハード」に参加しようとした疑いで捜査対象になった。ソマリアに渡航しようとしたことに関連して有罪となっている。もう1人はナディール・スーフィ容疑者(34)であることが判明した。