【NQNニューヨーク=古江敦子】5日のニューヨーク外国為替市場で円相場は上昇した。前日比30銭の円高・ドル安の1ドル=119円80~90銭で取引を終えた。朝方発表された3月の米貿易収支で赤字幅が広がり、米景気の先行き不透明感を意識した円買い・ドル売りが優勢だった。
3月の米貿易赤字は前月の改定値から43.1%拡大し、2008年10月以来およそ6年半ぶりの大きさとなった。民間金融機関が相次いで1~3月期の米実質国内総生産(GDP)の伸び率がマイナスまで下方修正されるとの予想を示し、円などの主要通貨に対してドルを売る動きが広がった。円は119円72銭まで上昇する場面があった。
サプライマネジメント協会(ISM)が発表した4月の非製造業景況感指数は前月から上昇した。円はドルに対して一時的に上値が重くなる場面があったものの、市場では「想定通りで円売り・ドル買いに傾けていた持ち高を解消するきっかけになった」との指摘が多く、積極的にドルを買う動きも限られた。
円は朝方に一時120円51銭と4月13日以来およそ1カ月ぶりの円安・ドル高水準を付けた。
円は対ユーロで反落し、前日比15銭の円安・ユーロ高の1ユーロ=134円00~10銭で取引を終えた。ユーロがドルに対して上昇し、対円でもユーロ買いが優勢となった。
ユーロは対ドルで3営業日ぶりに反発し、前日比0.0035ドル高い1ユーロ=1.1180~90ドルで終えた。ドイツなど欧州主要国で長期金利の上昇が続き、米欧の金利差縮小を見込んだユーロ買い・ドル売りが優勢だった。米貿易赤字の拡大もドル売りを促した。
ユーロの高値は1.1223ドル、安値は1.1109ドルだった。
オーストラリア(豪)ドルは米ドルに対して上昇し、前日の1豪ドル=0.78米ドル台前半から0.79米ドル台後半に水準を切り上げた。オーストラリア準備銀行(中央銀行)は5日開いた理事会で政策金利を引き下げた。ただ、スティーブンス総裁が声明で、雇用の改善を指摘するなど豪景気に前向きな姿勢を示したため「当面は利下げがない」との観測が浮上し、豪ドル買い・米ドル売りが優勢となった。