【ラスベガス=兼松雄一郎】独ダイムラーは5日、米ネバダ州から高速道路でのトラックの自動運転実験の許可を得たと発表した。同社は今後ドイツでも公道実験に入る。事故の影響が大きいトラックでは、乗用車に比べ公道実験の許可取得に時間がかかっていた。公道で実用化に向けた最終的な技術の検証が可能になり、トラックでも自動運転車の開発が加速することになる。
ダイムラー傘下の米トラック大手フレートライナー製トラック2台向けにネバダ州からナンバープレートが発行された。ネバダ州が設定した試験運転距離を問題なく走行し、州内の高速道路を自動運転できるようになった。立体撮影カメラ、レーダーやセンサーが周囲の危険を察知。前方の車を自動追跡する機能もついている。ダイムラーは昨年、試作車を公開していた。
自動車大手は自動運転の実用化に向け基本的な制御プログラムを既に完成させている。公道走行の許可を得たことで、実用化に向け実際の道路での不測の事態に対処するノウハウを蓄積できる。
トラックの自動運転が可能になれば高速道路での縦列走行に応用することで大幅な燃費の改善が期待できる。ダイムラーだけでなくスウェーデン大手ボルボ・トラックや日本のいすゞ自動車、日野自動車なども実証実験を進めている。
米では、乗用車の自動運転の公道実験はネバダ、カリフォルニア、フロリダ、ミシガンなどの州で許可されている。州ごとに異なる規制が可能な連邦制が特区のように機能し、米国は自動運転の開発競争で有利な環境を整えている。
自動車産業の誘致に熱心なネバダ州は他州に先駆け、2012年に米グーグルの自動運転車の公道試験走行を許可。米電気自動車(EV)メーカー、テスラモーターズの巨大な蓄電池工場の誘致にも成功している。トラックの自動運転実験の誘致でも先行した。