火山活動が活発になっている箱根山(神奈川県箱根町)の大涌谷周辺では7日も引き続き火山性地震が観測された。気象庁は、水蒸気爆発による小規模な噴火が発生する恐れがあるとして6日に火口周辺警報を発表し、噴火警戒レベルを1(平常)から2(火口周辺規制)に引き上げた。噴火した場合には大きな噴石や火山灰に警戒するよう呼びかけている。
警戒が続く箱根山の大涌谷(中央)。奥は強羅の温泉街(7日午前、神奈川県箱根町)=共同
箱根山は2009年3月から噴火警戒レベルが導入され、レベル2への引き上げは初めて。箱根町は気象庁の発表を受け、大涌谷周辺の半径300メートルに避難指示を出した。大涌谷に向かう県道を通行止めにし、ロープウエーの運行も全線で休止した。区域内に住民はいない。
気象庁によると、箱根山の火山性地震は4月26日から増え、5日には気象庁の1日の観測データで最も多い116回。6日は14回、7日も午前10時までに7回観測した。
このうち、5日は震度1を観測する火山性地震が3回発生した。朝の2回は震源が地表近くだったが、夜の1回は震源が地下約5キロと深かった。
気象庁は最悪の場合、熱せられた地下水の活動が不安定になって火口から噴き出す水蒸気爆発につながる恐れがあるとして、警戒レベルの引き上げを決めた。
火山性地震が活発になっているほか、傾斜計が山全体のわずかな膨張を観測し、現地調査では大涌谷で蒸気が強く噴出しているのも確認されている。ただ、地下のマグマや火山ガスの動きを示すとされる火山性微動は観測されておらず、マグマが活発化している兆しはないという。
気象庁は「5日夜の地震でステージが変わった。現時点で大きな噴火の発生や周辺の温泉への影響があるとは考えていないが、火口域周辺では警戒してほしい」と呼びかけている。