このように過去3年余りを振り返ってみると、決まって日経平均株価は5月頃から6月頃にかけて一時的にも調整するというパターンを繰り返している。また、例年のように10月、11月あたりから切り返して年末は株高というのも一つのパターンだ。よく言われるように、これは多くの海外ヘッジファンドが6月と12月に中間決算ならびに本決算の時期を迎えることと、まったく無縁というわけではなさそうである。多くの場合、彼らは6月末あるいは12月末よりも1カ月ほど前には決算数値を固めにかかろうとする。その結果、5月や11月に相場が一旦、転換点を迎えることも少なくないということになるのだ。
また、こと日本株に関しては、4月下旬から5月上旬にかけて、上場企業の前期末決算の発表と会社側の今期計画(収益予想)の発表が相次ぐという点も、やはり見逃せない。既知のとおり、毎年恒例のように期初の段階における会社側の収益予想は極めて控えめなものとなるケースが多い。それは、各社ともに最終的な実績が予想に対して未達となることを避けようとするからであるが、投資家の立場からすると、あまりに控えめな予想に対しては「失望」の感がどうしても拭えない。
実際、執筆時までに15年3月期決算の発表を終えた上場企業のケースを見ても、大半の企業が掲げる今期の収益予想は市場の期待を下回るものとなっている模様だ。なかには「市場の期待そのものが過大である」「保守的と言うより、むしろ実勢に近い」などといった見方もあるようだが、ここ数年の実例を見れば最終的に「やはり期初の予想は保守的に過ぎた」と振り返るケースの方が断然多い。そうは言っても、最終的な結果が判明するのは1年も先のことであるから、この時期は市場の不安心理がかき立てられやすいというのも道理ではある。
このように考えてみると、あながち「Sell in May」というのはアノマリーでもなんでもなく、ある種の合理的根拠に基づく株価の習性を考慮したうえでの警鐘と言えるのかもしれない。
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