街角の景況感の改善が続いている。内閣府が13日発表した4月の景気ウオッチャー調査は、3カ月前からの景気の変化を示す現状判断指数(DI)が前月より1.4ポイント高い53.6となった。改善は5カ月連続。賃上げや株高を背景に、小売り関連を中心に景況感が上向き続けている。北陸新幹線の開業や外国人観光客の増加で、地方も明るさを増しつつある。
同調査はタクシー運転手や小売店の販売員など約2千人に、直近3カ月の景気の変化や今後の見通しを聞いている。今回の調査期間は4月25~30日。判断の分かれ目となる50を3カ月連続で超えており、内閣府は基調判断を3月と同じ「緩やかな回復基調が続いている」で据え置いた。
小売り関連のDIは3月より4.6ポイント高い53.5と、5カ月連続で改善した。「相場が上がっている野菜も、販売量はあまり落ちていない」(近畿、スーパー)、「パソコンやテレビなどは単価の高いモノが売れている」(東北、家電量販店)といった声があった。
4月の大手百貨店5社の売上高は軒並み前年を1~2割上回り、消費増税前の2013年4月比でも数%のプラスを確保した。賃上げへの期待や株高で高額商品への購買意欲が上向いている。
地方でも改善傾向が定着している。全国11地域中、沖縄以外の10地域が前月を上回った。北陸は4.8ポイント高い59.9と、全地域で最も高かった。北陸新幹線の開業から1カ月たち「観光客のほかビジネスでも人が増えている。平日も人が多い」(タクシー運転手)。
外国人観光客の増加も地方経済への追い風だ。「稼働率の高まったホテル業界からの改修・増築の引き合いが増えた」(北海道、建設業)、「訪日客の販売量が約2割を占めるようになった」(九州、都市型ホテル)といった声が出ている。
賃上げの広がりや夏季賞与への期待から、今後の見通しも改善が続く。2~3カ月先の景気の先行きに対する判断DIは0.8ポイント高い54.2と、5カ月連続で前月を上回った。SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは「15年度は内需主導型の景気回復が期待できる」と話す。
一方、消費や企業採算への逆風を懸念する声もある。「電気料金の値上げを控え、消費者の価格に対する目は一段と厳しくなる」(近畿、インターネット通販)「円安による原材料高を販価に十分転嫁できない」(四国、食料品製造業)。賃上げが期待ほど高くなければ、景況感改善の足を引っ張る可能性もある。