シャープは14日、優先株の発行で主力2行と再生ファンドから計2250億円を調達する資本増強策を正式に発表した。資本を拡充する一方、単体の資本金は5億円まで減らし、累積損失を一掃する。他社との提携や復配、新たな増資など機動的な資本政策に備える。
みずほ銀行と三菱東京UFJ銀行からは債務を株式化する「デット・エクイティ・スワップ(DES)」という手法で2千億円を調達。メガバンクが出資するファンド、ジャパン・インダストリアル・ソリューションズから調達する250億円は戦略投資に振り向ける計画だ。
資本の拡充と併せ、シャープは当初、資本金を1億円まで減らそうと画策していた。資本金が1億円以下になれば「中小企業」とみなされ、法人税の軽減税率適用や外形標準課税の不適用など税制上の優遇措置を受けられるという奇策だった。
ただ、異例の減資策には宮沢洋一経済産業相が12日の閣議後会見で「企業再生としては違和感がある」と指摘。中小企業を育成するという制度の趣旨に反するとの批判を考慮してか、シャープは12日午後、資本金は5億円と方針を見直した。
これらの資本対策は株主の合意が必要なため、6月下旬の株主総会で決議する予定。一連の対策で18年3月期末に連結の自己資本比率を約10%に戻す計画だ。