総務省は15日までに、地震や洪水などから避難する際に支援が必要な高齢者や障害者ら災害弱者の名簿を、防災活動に積極的なマンションの管理組合にも提供するよう全市町村に通知した。近隣住民との交流が少なかったり、高齢化が進んだりといった都市部のマンションの状況を踏まえ、災害への備えを強化する必要があると判断した。
災害弱者の名簿は東日本大震災を受けた災害対策基本法の改正により、昨年4月から全市町村に作成が義務付けられた。作成済みの自治体は、災害時の避難誘導や救助活動に備えて、自治会や町内会、住民が任意でつくる自主防災組織などに事前に提供している。
マンションの管理組合は、財産管理を目的とする団体との位置付けから、自治体は積極的に名簿を提供していなかった。今回の通知では、自主的に避難訓練を実施するなど自治会並みに活動している組合を自主防災組織とみなすと明記した。
名簿提供に伴い、個人情報の管理への不安も予想されることから、市町村には名簿管理のルール作りや、情報管理者に研修を受けさせるなどの対応を促す。自治会や管理組合同士の情報交換の場を提供するといった支援も要請している。
総務省住民制度課は「活動が盛んで、マンション自体がひとつのコミュニティーとなっているところもある。外への広がりに期待したい」としている。〔共同〕