2003年の鹿児島県議選をめぐる選挙違反冤罪(えんざい)事件(志布志事件)で、無罪が確定した元被告と遺族ら計17人が、国と県に計約2億8千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、鹿児島地裁(吉村真幸裁判長)は15日、「捜査した警察、検察に違法があった」として、国と県に計約6千万円(元被告1人あたり460万円)の賠償を命じた。
03年4月の県議選に当選した中山信一元県議らは選挙運動の中で現金の授受があったとして公選法違反罪で起訴されたが、07年に12人全員が無罪判決を受け、確定した。訴訟で原告側は「長期間の勾留や違法な取り調べで精神的苦痛を受けた」と主張していた。
判決理由で吉村裁判長は(1)任意捜査の段階から取り調べで不相当な誘導やどう喝があった(2)不適切な捜査指揮の結果、虚偽の自白をつくり出した(3)適切な弁護を受ける権利も侵害した――として警察の捜査の違法性を認定。検察についても「起訴の一部については行き過ぎで、注意義務を怠った」と指摘した。
判決後、県警の種部滋康本部長は取材に「主張すべきことは主張してきた。内容を真摯に受け止め、対応を検討したい」と話した。〔共同〕