厚生労働省が19日発表した2014年度の毎月勤労統計調査(確報)によると、現金給与総額は平均で前年度比0.5%増の31万5984円だった。賞与や残業代の増加で4年ぶりにプラスに転じた。ただ昨年4月の消費増税による物価の伸びには届かず、国民の実感に近い実質賃金は4年連続の減少。賃金の増加による消費の押し上げ効果は限定的だった。
5人以上の事業所を対象に調査した。給与総額のうち、基本給に当たる所定内給与は0.2%減の24万926円。正社員などの一般労働者が0.2%増、パート労働者も0.3%増とそれぞれ増えたが、労働者に占めるパートの割合が増えたことで全体の所定内給与は小幅減になった。
賞与に当たる特別給与は3.1%増の5万5394円、残業代を示す所定外給与も1.6%増の1万9664円とそれぞれ増加した。
業種別にみると、現金給与総額は電気・ガス業が4.5%増と最大の増加率になったほか、製造業は1.6%増だった。一方、運輸業・郵便業は0.8%減った。
物価の影響を加えた実質賃金は3.0%減り、1990年度の統計開始以来、最大の減少幅だった。15年度は賃上げが続き、消費増税による物価上昇の影響もなくなるため、実質も増加に転じると見込まれている。