京都大学iPS細胞研究所の斉藤博英教授らは、iPS細胞から作った心筋細胞や肝臓細胞などを種類別に正しく選別する手法を開発した。RNA(リボ核酸)と呼ぶ物質を作用させて、目的の細胞だけが生き残るようにした。必要な細胞だけを移植すれば腫瘍ができにくく、安全性が高まる。iPS細胞を使う再生医療の実現を後押しする。
成果は米科学誌セルステムセル(電子版)に22日、掲載される。
iPS細胞は心筋や肝臓、膵臓(すいぞう)など様々な細胞に育つが、異なる種類の細胞が混ざって塊になるのが一般的だ。治療に使うには、細胞の種類を絞り込む必要があった。専用装置があるが選別に費用と時間がかかった。
研究チームは特定の細胞だけに作用して死滅させるように改良したRNAを開発した。このRNAを含む物質を選別前の細胞の塊に加えると、目的の細胞だけが生き残る。心筋細胞を作って試したところ、心筋細胞の割合が従来の60~80%より高い92~93%になった。肝臓や膵臓、血管の細胞も正しく選別できる見込みという。