中国薬科大学が27日に明らかにしたところによると、同大学の張燦教授のチームが細胞表面固定化技術を開発した。これは養子免疫T細胞の実体腫瘍に対する治療効果の強化に用いられる。関連成果はこのほど、国際的に有名な学術誌「Science Translational Medicine」にオンライン掲載された。新華社が伝えた。
論文の共同筆頭著者、同大学博士研究員の郝玫茜氏によると、養子免疫T細胞療法は患者の体内のT細胞を抽出し、これをプロの「腫瘍キラー」に訓練し、再び体内に戻し「敵」を殺す。
論文の共同連絡著者で、同大学薬物科学研究院教授の張燦氏は取材に「脂質代謝の調節はより安全で効果的な方法だろう。チームは、脂質代謝調整薬であるアバシミブと養子免疫T細胞を同時に使用することで、実体腫瘍の治療を行うという新たな方法を打ち出した」と説明した。
そのためチームは新型T細胞表面固定化技術を開発した。膜貫通型タンパク質の特性を模倣し、疎水作用を利用することで、脂質をT細胞に固定化させる。
張教授「この表面固定化は膜タンパク質の機能に影響を及ぼさないし、T細胞の正常な生理機能にも干渉しない。より重要なことは、この技術をその他の種類の細胞表面の工学的改造に使用できることで、広い適合性を持つ」と述べた。
科学研究者は、アバシミブは細胞膜のコレステロール値を持続的に高めることで、T細胞受容体のスピーディな集約を促し、T細胞の活力を高め、実体腫瘍に対する治療効果を強化することを発見した。
マウスを使った実験によると、非浸潤黒色腫、黒色腫の肺転移腫、及び非浸潤膠芽腫の3種の実体腫瘍に対して、改造済みのT細胞が治療効果を示した。(編集YF)
「人民網日本語版」2020年12月31日