政府は29日の閣議で、昨年9月の御嶽山(長野・岐阜県)噴火を受けた活火山法の改正案を決定した。噴火への備えが必要な自治体を「火山災害警戒地域」に指定し、避難計画の作成を義務付ける。
内閣府によると、警戒地域に指定されるのは、常時監視する活火山。現在47火山あるが、今秋までに50に増え、対象自治体は129市町村となる見通し。避難場所や避難ルートを示した計画の作成、避難訓練の実施を義務化する。3月現在、避難計画を定める地元市町村は約15%にとどまっている。
自治体以外でも、登山者らが集まるホテルやロープウエーの駅、周辺の病院などに避難計画や訓練を義務付け、噴火時の迅速な避難を促す。
御嶽山噴火では多くの登山者が犠牲になったことから、改正案は住民に加えて登山者の安全確保策を新たに明記。登山者が火山情報の収集に努めるよう求め、自治体の努力義務として、登山届などによって「登山者らに関する情報を把握」することも定めた。
地震や津波対策と同様に、火山防災についても国の基本方針をまとめることも盛り込んだ。改正法の施行後、政府の中央防災会議でまとめる。
中央防災会議の作業部会は3月末、火山防災を見直す報告をまとめた。今回の改正案は報告を踏まえた内容となった。法改正と並行して、内閣府は夏までに検討会議を立ち上げ、火山専門家を育成するための具体策などを打ち出す。